【こころ検定2級対策】vol.13 精神医科学 身体疾患と精神症状

こころ検定
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身体疾患とそれに伴う精神症状

腎不全

腎臓のネフロン(腎単位)の機能が50%まで低下した状態を腎不全といい、10%未満まで進行すると透析治療が必要な「末期腎不全」と呼ばれる状態になります。

急性腎不全慢性腎不全があり、高齢や生活習慣病との関わりがある慢性腎不全では不可逆的に腎疾患が進み、尿毒症を起こしてしまいます。

さらに進行すると皮膚が黒ずみ、高血圧や心不全、肺水腫等を併発することも多くあります。

腎不全による精神症状

人工透析を行うと、3~4割以上の患者にうつ症状が現れやすく、抑うつ、不眠、不安、情緒不安定や希死念慮を抱くこともあります。

原因としては透析治療による心身的な苦痛と日常生活において、食事制限や長時間の透析治療を受け続けなければならないという不安や恐怖が、ストレスとなり精神症状がでやすくなるのです。

肝炎

肝炎には様々な原因があるが、その中でウィルスによって引き起こされウィルス性肝炎にはA型からG型まで確認されています。

A・B・C型ウィルスによるものが特に問題となっており、A型は急性で症状が重く、B・C型は比較的症状は軽いが慢性化しやすいといわれています。

肝炎による精神症状

慢性の肝炎は長期にわたる症状からのストレスや末期になると妄想や錯乱などの症状が現れたりします。

また、B型慢性活動性肝炎、C型肝炎の治療に用いられるインターフェロンの副作用によって、投与直後には高熱や悪寒などから不安とストレスによりうつ状態が現れます。

その後、2週間以上経ってからはうつ状態から思考抑制、精神運動抑制が起こり、さらに悪化すると周囲の状況が理解できなくなることもあります。

脳卒中

脳卒中にはおもに5種類の病態があり、いずれも脳の内部と血管が原因となり症状があらわれるものです。

脳内出血
脳の血管が破れて出血を起こす。昏睡と下半身まひが起こる。

クモ膜下出血:
クモ膜と脳の表面の間にできた動脈瘤が破裂する。頭痛、悪心、嘔吐、意識混濁が起こる。

脳梗塞:
動脈硬化などによりできた血の塊が脳の動脈に詰まって起こり、脳の壊死がおこる。
突然起きたり、段階的に起こる場合があるが、前駆症状としてめまい、頭痛、舌のもつれ、手足のしびれ、半身まひや昏睡などを催す。

一過性虚血:
脳の血液循環が一時的に悪くなり、めまい、失神などの発作を引き起こす。

高血圧性脳症:
高血圧がひどくなり、脳の内部にむくみが起こり、頭痛、嘔吐、手足のけいれんなどが見られ、目がみえなくなることもある。

脳卒中による精神症状

約2~8割の脳卒中患者にうつ状態があらわれます。

半年以内にあらわれるうつ状態は不安と意欲低下、周囲に対する罪悪感により過剰なストレスを感じることから起こります。

病後数年後の症状は不眠、幻覚や妄想を伴う意識障害や言動に支障をきたすことがあります。

パーキンソン病

ドーパミンの不足が原因であると考えられており、ドーパミンの濃度が低くなると、神経系統のうち筋肉の緊張や運動などを調整する錐体外路系に支障をきたします。

これにより四肢の震え、筋肉のこわばりが強くなったり、動作が緩慢になったりします。(振戦、固縮、無動、姿勢反射障害)

錐体外路とは

大脳皮質 ➡ 大脳基底核 ➡ 小脳・脳幹 ➡ 

脊髄の運動神経細胞体に投射を行い骨格筋を動作させる


パーキンソン病による精神症状

軽度抑うつ的、心気症的、内向性となり、進行とともに無力状態、無欲状態がみられます。また幻視を生じることもあります。

認知症

認知症の症状では記憶障害などの中核症状がみられ、神経細胞が徐々に減少していくことに比例して進行し、その症状は治らないと考えられています。

また二次的に出現する周辺(辺縁)症状は治療が可能で、幻覚、妄想などの症状がみられます。

脳血管性認知症:
脳梗塞や脳出血などによっておこる認知症。
急性発症または段階的悪化を起こし、まだら認知症(脳の機能低下が全体ではなくまだら)で人格は比較的保持されるが感情が激しく、歩行障害などが起こる。

アルツハイマー型認知症:
脳の萎縮により起こる認知症で全体の約4割をしめる。
脳に異常タンパク質が蓄積され、ニューロンの減少、アセチルコリンの減少が原因ではないかと言われている。
初期は健忘症状が目立ち、中期にはせん妄、徘徊、幻覚妄想・易怒性の症状があらわれ、後期には重度の認知症になり、介護を要する。

クロイツフェルト・ヤコブ病:
感染する認知症といわれる。非常にまれな病気で海綿状脳症ともいわれる。

認知症の精神症状

記憶障害と抽象思考と判断力の低下、性格変化といった中核症状が初めに起こります。進行により周辺症状があらわれ、妄想型、抑うつ型、意識混濁型、単純型(周辺症状が乏しい)に分けられます。特殊なタイプとしてプレスビオフレニーという見せかけの活動過多を示すこともあります。

糖尿病

糖尿病はおもに4つに分類されます。

1型糖尿病:
インスリン不足により引き起こされる代謝異常で、ランゲルハンス島のβ細胞を破壊してしまう自己免疫異常である。

2型糖尿病:
遺伝や、生活習慣病が原因でインスリンの働きの低下とブドウ糖の利用低下が原因で起こる。

その他の原因の糖尿病:
遺伝因子として遺伝異常が同定されたものと、糖尿病以外の病気や、治療薬の影響で血糖値が上昇し、糖尿病を発症する。

妊娠糖尿病:
妊娠中に初めて分かったまだ糖尿病には至っていない血圧の上昇。将来的に糖尿病になりやすい。

糖尿病による精神症状

糖尿病を長い期間不十分な治療を続けていると、血管がもろくなり、血管・神経障害があらわれ、腎臓障害や心筋梗塞、脳梗塞など様々な合併症を発症することがあります。

神経障害(ニューロパチー)は疼痛を伴い、うつ状態になることが多くあります。

クッシング症候群

クッシング症候群の原因としては、腺腫、組織の異常増殖による過形成により、副腎皮質刺激ホルモンが過剰に分泌されてそれに反応してコルチゾールが過剰分泌されることをいいます。また、がんによってもクッシング症候群が現れることもあります。

ムーンフェイスといわれる満月様顔貌や中心性肥満(手足は細く、体幹は太い)、皮膚が薄く、内出血しやすく心肺機能の阻害や糖尿病や高血圧なども併発することがあります。

クッシング症候群による精神症状

患者の約半数が精神症状を催すといわれています。

体調の悪さから、抑うつ状態で意欲の低下がみられ、幻覚や妄想もあらわれ統合失調症にも似た症状があらわれます。

また、情緒不安定な状態が続き、抑うつ状態から希死念慮を表すこともあります。

更年期障害

更年期とは女性ホルモンを分泌する卵巣の働きが衰えて停止し、女性ホルモンが欠乏した状態で安定するまでの時期をいいます。

それに伴い、卵巣から分泌されていたエストロゲンやプロゲステロンの量が減少していきます。女性ホルモンのバランスが崩れると、自律神経や情動にまで影響が及び様々な症状が現れます。

自律神経の乱れからくる症状がホットフラッシュという典型的な症状です。また手足の冷えや頭痛、肩こり、疲労倦怠感などの様々な症状があらわれます。

更年期障害による精神症状

不眠・不安・イライラなどの症状があらわれ、不定愁訴を訴える方が多くいます。

またうつ病が起こりやすくなります。

甲状腺機能低下症

甲状腺ホルモンの量が不足して新陳代謝が低下し、無気力、疲労感、むくみ、動作緩慢、記憶力の低下などがおこります。

原発性甲状腺機能低下症で最も多い、橋本病は自己免疫疾患の1つで甲状腺に対する自己抗体(抗サイログロブリン抗体、抗マイクロゾーム抗体)を作り、甲状腺を破壊するために起こります。

甲状腺機能低下症による精神症状

疲労感が取れず、活動性の低下がみられます。抑うつ状態となり記銘力が低下し、うつ病に類似した状態が見られます。

癌は悪性腫瘍、悪性新生物といわれ、体の全ての場所に発生します。

正常細胞が何らかの原因で突然変異を起こし、再生不全となり無限に増殖する細胞に変化してしまいます。

癌細胞が増えた部位はその役割や機能を果たすことができず、生体に様々な障害を引き起こします。

癌による精神症状

抑うつ、不機嫌、希死念慮などの症状があらわれます。また、不安、ストレスが過剰にかかるので、治療の際にはストレスの緩和が重要になります。

ステロイド

ステロイド剤は副腎皮質ホルモンを化学的に合成した薬剤で、外用薬、内服薬、注射薬があり、様々な疾患に用いられています。

ステロイド剤による精神症状

ステロイド剤投与後数週間から1か月して症状が現れることが多くなっています。

不眠、不安からうつ状態や躁状態があらわれ、症状が進むと妄想や錯乱が起こります。

ステロイド剤はうつ状態よりも躁状態の方がでやすく、多弁、話に脈絡がなくなるなどの異常があらわれ、しだいに幻聴や被害妄想が起こったりします。

梅毒

トレポネマ・パリズム(Treponema palidum)という病原体による感染症です。

中枢神経系の梅毒疾患を神経梅毒といい、症状・病変部位によりいくつかの型に分類されています。

現在はペニシリン治療により大幅に減少しています。

梅毒による精神症状

中心症状は認知症状で、感情の鈍麻、人格変化と知能の低下があり、辺縁症状は臨床類型によりいくつかに分けられています。

①認知型(辺縁症状が少ない)
②誇大躁病型(躁状態が目立つ)
③抑うつ型(うつ状態が目立つ)
④激越型(せん妄、錯乱、興奮)
⑤分裂病型(幻聴、被害妄想)

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