【こころ検定2級対策】vol.16 カウンセリングの基礎 心理療法-精神分析療法①

カウンセリング基礎
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フロイトの精神分析

精神分析療法の歴史

精神分析療法とは、1900年頃から行われてきた方法で、オーストリアの精神科医であるジークムント・フロイトによって創始されました。

フロイトは元々はヒステリーの治療・研究を行っていました。

その後、「夢解釈」という本を出版してから、精神分析という名称が頻繁に使われるようになり、治療方法も催眠療法からカウチにクライアントが座り自由に話を語ってもらうというスタイルに変化していきました。

この方法を自由連想法といい、クライアントに心に浮かぶものを自由に語らってもらい、カウンセラーはそれを明確化することでクライアントの無意識に抑圧しているものを意識化していきます。

クライアントはこれにより、自己洞察を深め自己を成長させていき、精神状態の改善を促していくというものです。

精神分析学や精神分析療法は娘のアンナ・フロイト、ユングやアドラーなど多くの有名な人たちに受け継がれ様々な方法が確立され、現在まで継続・発展しています。

フロイトは精神分析療法をクライアントの無意識や抑圧された過去を意識化させて、受け入れられるように精神状態を変化させることを意図した治療法であるとしています。

心理カウンセラー → 無意識へのアプローチ → クライアント → 無意識的な葛藤・欲求 → 心理カウンセラー → 無意識の解釈 → 症状の軽減

精神分析療法は不安症・パニック症・強迫症などの精神障害に対して一定の治療効果が認められています。

精神分析の応用

また、精神分析の考え方は様々な分野での応用がなされており、マーケティングなどにも使われています。

精神分析とは、実体のない心というものをどのように理解していけばよいのかという答えを導いてくれているといえます。

問題点

精神分析療法は過去にアプローチをするため、その過去の出来事に対する真偽があいまいであるため明確な見解が出しにくく、無意識に対する統一された解釈がないため、カウンセラーによって解釈が異なることがあるという問題点があります。

また、抑うつ性障害のような内因性精神障害に対しては、カウンセリングの方向性が「今、現在」に向けられるため、有効な効果が期待できない場合があります。

フロイトの精神構造論

フロイトは人間の心には普段は意識されていなくても、現実の行動に影響を及ぼすものがあり、その心の領域のことを無意識と呼び、心の領域を3つに分けて説明しました。

①意識:本人が認識できる知覚・思考・意思


②前意識:普段は意識されていないが、注意を向ければすぐに思い出せる。


③無意識:抑圧した記憶や願望。しぐさ、ふるまい、夢として現れるが、認識しようとしてもできない。

フロイトの心的構造論

人間の心はエス(es、イド)、自我(ego)、超自我(super ego)の三層構造をしており、それらはそれぞれ異なった働きをするが、互いに連携し合っていると述べています。

①エス(es):本能の無意識にある欲求。


②自我(ego ):現実の規則に従い行動しようとする部分。エスの欲求をコントロールする。

③超自我(super ego):論理や道徳論に基づいた良心と自分の理想像により形成されている。エスの欲求を抑圧し、自我の行動を検閲する役割を持っている。

フロイトの精神構造論を氷山にたとえて表すと、海面から外に出ているのが意識で、海面のすぐ下には前意識があります。

前意識は、何かをきっかけに思い出し、海面が下がると意識となり外に現れます。

そのさらに下には無意識があり、しぐさやふるまい、沸き起こる感情などによって意識の世界に働きかけてくるにもかかわらず、認識することができません。

それとは別に、人の心は三層構造をしており、エス(イド)は欲求を満たすことを求めることで、それによってもたらされる性的な側面での本能的なエネルギーのことをフロイトはリビドーとよびました。

心理性発達理論とは

またフロイトは人の発達段階について、5つの成長段階(口唇期・肛門期・男根期・潜伏期・性器期)があり、乳幼児期から本能的なエネルギーであるリビドーが発達すると考えました。

リビドーがどのように満たされたかによってこだわりが形成されたり、将来の性格が決まったりするといいます。

たとえば、口唇期の乳児期は授乳や指しゃぶりなどを通して性格が形成されるといいます。欲しい時に十分授乳をされるとおっとりとした性格になり、足りないと甘えん坊で依存的な性格になるといいます。

リビドーの発達が何らかの原因によって途中の段階で止まってしまうことを固着といい、口唇期にとどまってしまうと、過食・喫煙・飲酒・爪を噛むといった問題が後に現れたりします。

固着によって過度な満足や満たされない状態が続くと、神経症を発症する要素となる可能性もあるといいます。

また、男根期(4~5歳)は性に対する意識・識別をするようになり、男女の違いにも興味を示す時期です。

この時期の特徴にエディプスコンプレックスという感情がみられ、人生最初の異性として女児は父親に、男児は母親に愛情を持ちますが、その際に同性の親に強い対抗心を抱きます。

エディプスコンプレックスの葛藤を克服することで、それに付随するリビドーは無意識に抑圧されます。すると子供はエスから現実的な自我を作り出します。

また、男児は父親のような強い男性になろうとする(同一化)側面と、父親からの禁止事項が合わさって超自我が作られ、発達していくといいます。

コンプレックスというとイコール劣等感というイメージがあるけど、これはちょっと違うんだ。

この誤解はアドラーの「劣等コンプレックス」という理論が元になっているんだけど、コンプレックスとはそもそも複合体っていう意味だよ。

なんだかわからない心のもやもやのことだね!

アドラーの劣等コンプレックスとは

劣等感を言い訳にして人生の課題から逃げ出すこと。

つまり、現在の問題を人のせいにしたり、自分が劣っているという言い訳をして自分のライフタスクを避けようとすることを劣等コンプレックスという。

ちなみによく使うマザコンっていうのは、和製英語だよ。

フロイトやユングが定義しているマザーコンプレックスの原因はメルヘンな物語やファンタジーだといわれているよ。

ユングの分析心理学

カール・グスタフ・ユングはスイスの精神科医で心理学者です。

ユングは精神分析学の創始者であるフロイトのもとで教えを受けていましたが、考え方の違いから、フロイトのもとを離れていきました。

ユングはフロイトの提唱する無意識を二つに分け、コンプレックスと無意識の関係について研究を行いました。

ユングの無意識論

ユングは無意識を個人的無意識普遍的(集合的)無意識という領域に区別しました。

個人的無意識とはフロイトのいう無意識と同義のものであり、個人的に獲得された無意識で、抑圧した願望や記憶などで成り立っていますが、ユングは個人的無意識を含んだものをコンプレックス(心的複合体)と呼びました。

さらにその奥にある普遍的無意識とは生まれながらに人間に備わっているもので、人類一般に共通するイメージを持っているものです。

普遍的無意識があるからこそ、自分自身とも他者とも対話し理解し合えるのだといいます。

ユングは精神疾患の患者を治療する過程で、経験や地域的につながりがなくても生まれ持った人類共通のモチーフがあることをを見つけ出しました。

そしてこれらは普遍的無意識の元型(アーキタイプ)と呼びました。

元型の種類

意識の中心として自我(ego)の元型と心の中心とされる自己(self)の元型(その人がなるべき究極の自分自身)があります。そのほかにも多数の元型があります。

ペルソナ:仮面を意味するもので、社会に適応するために必要とする役割的な人格を形成する元型となるもの。自分にあった仮面をつけ、上手く着脱できるようにすることが大切だという。

シャドウ:自分の欠点や認めたくない自分の二面性の正反対の部分。相手に対してイライラや不快感を伴う場合、自分のシャドウを相手に投影していることが多い。

アニマ:男性の心の中に存在する女性の理想像。

アニムス:女性の心の中に存在する男性の理想像。

太母(グレートマザー):あらゆるものを育てる偉大な母のイメージ。女性にとっての究極的な目標。

老賢人:男性にとっての成長の最終的到達点ともいわれ、父親元型でもあり、経験の知恵や理性の現れ。

タイプ論と相補性

ユングは意識と無意識は互いに影響を及ぼし合って平衡を保つように補い合っていると考えました。

人間には「内向的」か「外交的」かの傾向があり、心には思考・感情・感覚・直感の4つの機能があり、どれが最も強く働くかで合計8つのタイプに分けることができます。

思考とは物事を論理的に考えること
感情は好きか嫌いかで判断すること
感覚は物事をありのままで受け止める
直感はパッと本質的なものがひらめくことだよ。

そこで自分の主となる機能とうまく働かない劣等機能があり、お互いに補い、補償し合って働いています。

これを相補性といい、これがうまく働かない場合にはコンプレックス(心的複合体)が形成され、ストレスを感じると自我への影響が継続して、神経症を発症するのではないかとユングは考えました。

そこで、上手く働いていない機能を洗練したり強化することによって自己実現につながるといいます。

ユングのいう自己実現を目指すには、よく働いている機能により磨きをかけたり、苦手なことを克服して新しい自分を作り、自己に近づいていくことです。

ユングはこの過程を心理療法に取り入れていました。

個性化の過程と自己実現

自分の可能性や自分らしさとは何かというテーマを追求していくことが自己実現へのプロセスです。

そのためには普遍的(集合的)無意識の元型から自分自身を区別し、その元型から自分自身を開放させることが必要です。

個性化の過程とは人間が未分化な無意識を発達させることで、目標は個体としての人格発達であり、広い意味で個人が自分自身というかけがえのない個別存在となっていくことであるとユングはいっています。

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