
欲求と適応機制
欲求とは
欲求とは、人間を取り巻く環境との調和・安定を考える心の働きをいい、人間を行動にかりててる力のことをいいます。
欲求には一時的欲求とよばれる、生命を維持するための欲求と二次的欲求の社会的・文化的欲求があります。
アブラハム・マズローの欲求段階説
アメリカの心理学者アブラハム・マズローは自分の人生において自分をごまかさずに楽しめている人を「自己実現した人」とよびました。
マズローは「人間は自己実現に向かって絶えず成長する生き物である」という考えのもと、人間の肯定的な側面に注目して精神分析を行いました。
マズローは人間が行動を起こす理由には段階があり、欲求は5つの階層構造をしているとして、欲求段階説を提唱しました。
生理的欲求などの低次の欲求が満たされると次の段階の欲求を持つようになります。
5段階目の自己実現の欲求とは自分にしかできないことを成し遂げたい、自分らしく生きていきたいという成長欲求です。
【マズローの欲求段階説】


マズローは晩年にさらに6段階目の自己超越の欲求があると発表しました。
でもこの段階に達することができるの全人口の2%といわれるほど稀なことだよ。
自我を超えて他者や社会への貢献ができる人だよ。
適応と不適応
適応とは自分自身と生活環境、自然との調和・共存的関係性の成立とその維持がされた状態をいいます。また自分自身も安心・満足・快活的な情緒感が持てている状態のことをいいます。
不適応とは不調和的関係性の出現によって不快・不安・不満的な情緒感に支配されている情緒不安定な状態のことをいいます。
不適応への対応としてこの気分を解消するための意識活動や行動を無意識に行い回避していきます。
適応機制(防衛機制)とは
強い葛藤(コンフリクト)や欲求不満(フラストレーション)などによって自我が脅かされ、適応ができなくなった時に不安の発生を防ぎ、心の安定と調和を図るためにとられる自我による無意識の再適応のことを適応機制といいます。
ジークムント・フロイトの娘であるアンナ・フロイトが幼児心理学の研究の中で提唱したものが元になっています。
適応機制の種類
代償 | 他の目標に変えて満足する | 妥協。第二希望にする |
抑圧 | 不満や不安を無意識に押し込む | 忘却 |
投射 | 欲求不満の原因を他人や物のせいにする | 疑心暗鬼・偏見 |
昇華 | より価値の高い欲求に置き換える | 芸術・スポーツで頑張る |
反動形成 | 抑圧した欲求と反対の行動をとる | 嫌いな人をほめる |
同一視 | 他人の長所を取り入れ同一の行動をする | 好きなタレントをまねる |
合理化 | 別の理由をつけて正当化し納得させる | すっぱいぶどう |
逃避 | 不適応な状態から逃げる | 空想・病気に逃げる |
補償 | ある面の劣等感を他の面での優越感で補う | 得意なスポーツに励む |
知性化 | 物事を過度に知的に考えて感情を統制する | 屁理屈 |


精神分析から派生した技法・療法
精神分析から派生したものとして、分析心理学、個人心理学、交流分析、遊戯療法、箱庭療法、ロゴセラピーなどがあります。
自己分析:カレン・ホーナイは精神病などの症状は自己の成長過程のつまずきとして現れるものであり、症状が緩和しても自己洞察を深める必要があると考え、治療後も自分で行える療法を開発した。
児童精神分析:アンナ・フロイトは遊戯療法を用いて子どもに対する精神分析を行った。一方メラニー・クラインは子どもの自由連想を遊びから引き出して分析を行った。
箱庭療法:子供を対象とした遊戯療法を大人にも適用できるようにしたもので、箱庭を作ることでカタルシスや自己への気付きを得る療法。
交流分析:エリック・バーンによって開発された、人と人の交流に関する理論と療法。その人の自我の状態を知り、他者との交流方法を分析し過去の体験が今の行動にどのように影響しているかに気づき自分を変えていく方法である。
人間心理学の特徴である「今、ここ」に着目し、これからに向けてアプローチしていくこと。

カタルシスとは抑圧されていた情緒的エネルギーが解放されて、心の緊張が解けることを言うよ。精神の浄化といわれてるよ。
簡単に言えば、心の中のもやもやが解消されてすっきりすること。
映画見て泣いたらすっきりした~!みたいなことだよ。
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