

そもそも心理学ってどんなものだろう?
たくさん種類があるけど、ここで学ぶのは生理心理学と認知心理学だよ。
心理学とは
心理学にはたくさんの種類がある
心理学と一口に言っても、心理学にはとてもたくさんの種類があります。
大きく分類すると基礎心理学と応用心理学に分けられます。
ここで扱う生理心理学と認知心理学は基礎心理学に分類され、人がみな等しく持っている心の仕組みを一般法則として理論的に研究していく分野です。
応用心理学とは基礎心理学をもとに臨床、教育、スポーツなど多岐にわたる分野で応用され研究を行う分野です。
解剖生理学に基づいて、脳の機能と心理的な過程について研究する心理学
知覚・記憶・思考などの情報処理の過程について研究する心理学

認知心理学は1950年代、コンピューターの発達とともに誕生した心理学だよ。
認知心理学では人の体を装置、心を情報を処理するためのシステムやソフトウエアとしてとらえているよ。
だから人工知能の研究にも通じているんだ。
人間の心理的過程~認知ってなんだろう
あなたが何かを見たり聞いたりして行動を起こすまでにはあなたの頭の中ではどんなことが起こっているのでしょうか。
あなたの前に赤い丸いものがあったとします。
これをみてあなたはその赤い丸いものがりんごであると判断します。
真っ赤でつやつやのりんごは甘くておいしいだろうと、過去の経験から分析します。
すると、食べたときのことを思い出しておいしそう、食べたいという感情が起こります。
そして実際に手に取りりんごを口まで運び、かじります。

あなたが赤い丸いものを見て、食べたいと思って食べるまでの間のりんごに対する判断・分析の過程を認知といい、この役割が非常に重要であることがわかりました。

ぼくはりんごを見ても食べないよ。前にものすごく酸っぱいりんごを食べてから嫌いになっちゃったんだ。
このように、同じものを見てもそれが良いか悪いかを判断するのは、人によって違います。
知覚したことをどのように認知するかによって、それがストレスになってしまうこともあるのです。
どのように認知が行われているのか
人が何かを知覚すると神経を通って電気信号で脳にその情報が送られます。
次に海馬での記憶を元に比較参照した情報が偏桃体に送られ快か不快かの判断がなされます。
偏桃体で快な出来事と判断されれば、ポジティブな感情が生まれ、不快と判断されるとネガティブな感情となってあらわれるのです。
偏桃体での快、不快の判断は人間だけでなく動物にもみられる反応です。
ここでの人と動物の違いは、人はコミュニケーションをとり、他者との関係を円滑に行おうとするため、人の偏桃体は他者の表情に対して鋭敏に反応するようになっているのです。


情報はすべて電気信号として伝えられるなんて、まるでコンピューターみたいだね!

運動するとポジティブに!?
脳の視床下部は食欲、性欲、睡眠欲など動物の本能的な欲求の調節に関わり、ホメオスタシスの維持に重要な役割を果たしています。
また視床下部では感情の調節機能にも関わっており、ここで異常が発生すると精神疾患の原因にもなるといいます。
適度な有酸素運動を行うことで、副腎皮質ホルモンの1つであるグルココルチコイドの分泌を促します。
そのグルココルチコイドの作用により、海馬や視床下部が影響を受け一時的にネガティブな感情を低下させ、同時にポジティブな感情を高めることが科学的に明らかにされています。
このような作用があることから、有酸素運動は心理カウンセリングや薬物療法などと併用しながら、うつ病の治療や支援にとりいれられています。

うつ病やメンタルケアにおいては、運動はやりすぎると逆に悪影響がでてしまうので、注意が必要だよ。
脳の血流を測定することで、うつ病や統合失調症などの精神疾患の診断を行う検査である。
光トポグラフィー検査は近赤外線分光法(NIRS)による検査で血液中のヘモグロビンによる吸収量を測定し、数値化することができる。
血流が早い → 吸収される近赤外線量多い
血流が遅い → 吸収される近赤外線量少ない
うつ病の場合は課題実施時の血流が早くならないことが判明しているので、数値が低くなる。診断の補助的な検査として行っている。
睡眠と脳のはたらき
睡眠中に脳の中では何が起こっているの?

寝ているときは身体を動かしたり、意識してものを考えたりすることはできないよね。
ふしぎな夢をみたりするのはどうしてなんだろう?
睡眠は副交感神経が優位な状態で心身の健康を維持するために必要なものです。
睡眠障害を発症すると、身体、精神の両方に悪影響を及ぼします。
不安や恐怖、抑うつなどのストレスによって睡眠のバランスが崩れてしまい不眠になることが多くあります。
人の脳は絶えず電気信号の受信と発信を繰り返しています。
これを脳波として測定することで、脳の活動状態を把握することがでます。
β波 < α波 < θ波 < δ波
β波が一番振幅が小さく早い波形である。
完全な覚醒状態ではおもにβ波があらわれる。
安静にしている状態ではおもにα波があらわれる。
Stage1:β波やα波が消失しθ波が出現しはじめる。眠気が起こりウトウトしている状態。緩徐眼球運動(SEM)が発生する。
Stage2:SEMが消失し、本格的に眠りに入り始めた状態。睡眠紡錘波とよばれる特徴的な脳波があらわれる。
Stage3:δ波が出現し、多少の音や光には反応しない。
Stage4:δ波が50%以上になり、非常に熟睡した状態。
Stage5(Stage REM):眼を閉じた状態で急速眼球運動(REM)が発生している。脳波自体はStage1の状態ににている。
睡眠は Stage1→ S2→ S3→ S4 → S3 → S2 → S1→ Stage-REM という順序でこの周期が約90分でおこなわれている。

ノンレム睡眠では脳が休息状態で活動が制御されているが、筋肉はある程度緊張状態になっています。
Stage3で目が覚めてしまうと深い眠りに入る途中で急ブレーキをかけたような状態になるため、起きてからも眠気が残り、疲労感が残ってしまう。
これを睡眠慣性といいます。
レム睡眠では脳が活動状態であるが、筋肉は休息状態になっています。
レム睡眠中にも後頭葉は活性化しており、眼を閉じているが何かを見て情報を処理しているのではないかと考えられています。
脳内時計?時間は感覚
人には時間を何らかの刺激として受け取る器官は存在しません。
ではなぜ、時間を感覚として把握することができるのでしょうか。
人間は約24時間のサイクルで脳波や体温、血圧が変化します。
このようなサイクルを概日リズム(サーカディアンリズム)といい、視床上部にある松果体から分泌されるメラトニンというホルモンによって制御されているのです。
メラトニンの分泌は夜間に多く、昼間は減少します。
厳密には起床から14時間後にメラトニンの分泌が始まるといいます。

海外旅行をすると、身体の概日リズムと外界の状態が逆転してしまうので時差ボケがおこるよ。
また、人は体温が高い時には実際よりも時間を速く感じ、低い時には実際よりも時間を遅く感じる傾向にあるそうです。

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